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吸血鬼を主題にしたオリジナル小説。 ヴァンパイアによる支配が崩壊して40年。 最後に目覚めた不死者が直面する 過渡期の世界
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久史都子
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「火刑…なら水か」
ウンディーネ…いや、水場からは遠い。ならばシルフ。ヴァエルが擬人化に成功した大気の精霊を幾体か譲り受けた時、クインポートにもひとつ常駐させたはず。
貿易船を見守るよう命じておいた彼女は、まだ解体せずに居るだろうか。

アレフは踏み折られた枝を拾い、大気に干渉する魔方陣を描きあげた。
魔力をこめた瞬間、目まいに襲われる。やはり陽光の下で天候をあやつるのはキツイ。
「シルフィード!」
手を空に差し上げ、喚んだ。
何の反応もない…
目を閉じた時、指先を風が巻いた。
「来たか…」安堵で笑みがこぼれた。
「海上から風を集められる限り集めて、街の上空へいざなえ」

クインポートを包む大気が、海上から風を吸い上げ、強い上昇気流を生じさせる。雲が生まれ灰色に厚く伸び上がり日光をさえぎり、仮のたそがれをもたらした。
「ありがとう。これで、なんとか力を揮える」
大気を動かしてくれた精霊の労をねぎらい、あらためて雨を呼ぶ呪を唱える。待っていたかの様に大粒の雨が地面を叩き始めた。

「…雨だけでは消しきれないか」
まだ生命の共有者の痛みは続いている。だが、滝の様な雨が広場に集っていた見物人の大半を建物の中へと追いやり、館の前からでも火刑台がはっきり見えるようになった。

力を飛ばし火刑台の周囲に多量の熱を奪う魔方陣を組み上げる。すでに全身をヤケドしている身に、凍傷が少し加わったところで文句はあるまい。青白く輝く術の発動と同時に火が完全に消え、白い煙が雨の中をただよった。

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