忍者ブログ
吸血鬼を主題にしたオリジナル小説。 ヴァンパイアによる支配が崩壊して40年。 最後に目覚めた不死者が直面する 過渡期の世界
| 管理画面 | 新規投稿 | コメント管理 |
ブログ内検索
最新コメント
[09/13 弓月]
[11/12 yocc]
[09/28 ソーヤ☆]
[09/07 ぶるぅ]
[09/06 ぶるぅ]
web拍手or一言ボタン
拍手と書きつつ無音ですが。
むしろこう書くべき?
バーコード
カウンター
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
久史都子
性別:
女性
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 弱弱しく続くノッカーの音に、ドルクが玄関の扉を開いてみると、顔を泣きはらしたラウルが闇の中に立っていた。
 一瞬身構えたが、今回は刃物を持っていない。

「殺してください」
「ラウル! どうして」
 かけつけた代理人の質問にはすぐに答えず、その場に座り込んでしまった。酒の匂いはしないが、別の何かに酔っているような熱っぽい目をしている。

「この前、俺、逆らって……領主様を傷つけようと……。死罪にもあたる大罪のはず。償うために、カリーナと同じ様に……」
「カリーナさんには死なない程度に血を献上してもらうだけです」
「でも、御領主さまのくちづけを受けた娘は、この世の恋は忘れてしまうと聞きました。……俺のことを忘れて、生きる気力もなくして……カリーナがそうなったら、俺も生きていられない」

「それは……」
 ドルクは言葉に詰った。ラウルとの間で育まれた恋情は、魔力で消しさられ、娘の心に今あるのは、主に何もかも捧げたいという破滅願望だけ……そして、この世への執着を失った者達は長く生きられない。

 すでに心は失われ、数年後に身も滅ぶのは、傍らにいる恋人にとってむごすぎる仕打ちかも知れない。

 不意に呼ぶ声がした。
 頭の中に響く主からの用命。食事が終わった知らせだった。
 ラウルを代理人に任せ、足早に二階へ向かった。

一つ戻る 次へ

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [12] [13] [14] [16]

Copyright c 夜に紅い血の痕を。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Material By Mako's / Template by カキゴオリ☆
忍者ブログ [PR]