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ヤマを一つ越えたあと、クライマックスに向けて助走を始めるはずが……章のタイトルからして迷走状態です。北京の開会式や『恋空』を見てる場合じゃナイんですが。
『恋空』といえば……『あんどーなつ』のうなぎ職人のジャン(鈴木裕樹=ゲキレッド)の短髪もビックリしたけど、頭が白い紅渡って違和感バリバリ。仮面ライダーキバの撮影どうするんだろ。人外の血に目覚めたとかでゴマかすのかな。
いや、ヒロはずっと銀髪というわけでは……というか「これだから特ヲタは度し難い」なんてドン引きされますよ? それに元々『恋空』を読み始めたのはティアさんのためのハズ。
17歳は遠き過去。文体取り込んで、戻らぬ青春の仮面をかぶって、エセ若者言葉で書くためだっけ。あーあ、人間トシは取りたくないねぇ。
逆に、文体を取り込むまいと堅く戒めていたのが、今回の御題。
『ブラックロッド』著 古橋秀之(メディアワークス)
真似しようたってムリなんですが。
第2回電撃ゲーム小説大賞受賞作品だけど、ハードカバーではなく文庫本の方だよね。
舞台は異なる歴史を歩んだ未来の地球。多層構造都市『ケイオス・ヘキサ』。ブレードランナーやイノセンスというより、ファイナルファンタジー7のミッドガル。腐ったパイのような陽のささない最下層でうごめく、人と人でない者の叙事詩でしょうか。
構造としては、ブラックロッド(黒杖特捜官)と魔女っ娘(妖術技官)と吸血鬼探偵に、悪霊とカミ様が絡むハードボイルド小説?
それが……よしなごと書くために読み返すまで、ストーリーをカンペキに忘れ果ててたみたいですよ。続編の『ブラッドジャケット』は断片的には覚えていたんですが。
確か3部作だよね。『ブライトライツ・ホーリーランド』は?
デビュー作『ブラックロッド』に近いという前評判を聞いて、読む前にスルーしたようです。
をぃをぃ。
このカテゴリーって影響受けた作品の感想書くコーナーぢゃなかったっけ?
初めて読んだ時は衝撃的だったようですよ。これは劇場用のアニメ化とかあるかもしれない。こんなんでたら、もう吸血鬼モノ書けないと。
ところが、あんまりウケが良くなかったという……かろうじてコミックス化とラジオドラマ化はされたみたいですが。
なんで? メディアワークスさんの売り方がマズかったとか?
なんというか
『ブラックロッド』そしておそらく『ブライトライツ・ホーリーランド』は、ラノベの形式を借りた《純文学》なんですよ。音楽でいえば重厚な交響楽。アニメでいえば前述のイノセンスやFF7アドベントチルドレン。
書き手としての感性で判断するなら間違いなく大傑作。細部にまで言霊が宿る、手の届かぬ境地を切り開いたあこがれの小説です。
しかし、読み手の観点だと……ぶっちゃけ時間のムダ。『恋空』読んだり『渡鬼』見てるほうがまだ有意義。
おおっと、書き手と読み手で正反対の評価。
小説を書くという作業は言葉を一つ一つ選び、連ねて重ねてシチュエーションを組み上げてていく事。アニメーターが一枚一枚、絵を描く様に。セーターを一目ずつ編み上げるように。一枚の絵、編目のひとつにあたる……言葉や造語、それらが与える印象や編み上げるイメージにおいて『ブラックロッド』は文句なく素晴らしい。
最上の材料と菓子職人の技量の粋を凝らして焼かれた、きめ細かなスポンジケーキみたいに?
塗られているホイップクリームも極上です。
ですが、生のイチゴやモモの砂糖煮、チョコで作ったプレートや色とりどりのアイシングが乗ってないので、素晴らしい出来なのに記憶に残らない。体重を気にするなら、この手のケーキは太るだけ損。まず選びません。
その……すごい職人でなくても、買ってくれば体裁が整う、ケーキの上の飾り物が、ストーリーとか感情移入できる分かり易い人物像かな?
ストーリーだの登場人物の関係性だのは、紀元前にネタは出つくして、作家が工夫を凝らそうにも……ハナから独自性など出しようがありません。何をどう組み合わせようとベタでありがちです。
でも、読み手の立場では、一番優先されるのが、ココ。
たとえ土台がホットケーキでも、塗られているのが安い植物性のクリームでも、イチゴさえ買ってきて乗せれば、手作りイチゴケーキとして歓迎される上に、それなりの読後感も残せます。
いわゆる、泣ける、とか、切ないって、分かり易いあおり文句みたいなもん?
スィーツと揶揄《やゆ》されようが、人はメロドラマが大好きです。
一方『ブラッグロッド』は感情移入を拒むタイプのキャラばかり。感情が極端に制限されていたり、心がコピーで体は作り物だったり、魂がなかったり……かろうじて理解できそうなキャラは萌える間もなくすぐ退場。いやはや散々です。
おかげで、余分な事に関心を捕らわれず、文章表現そのものを楽しめるという点で、番号で呼ばれる交響曲や絵画や彫刻にきわめて近い。
ポップスとかマンガとかアニメフィギュアの対極って意味で、ラノベの純文なわけね。
その上、タイトルロールのブラックロッドより、副主人公……いや、視点人物で探偵役のビリー・龍のトリックスターぶりが光りすぎてて、どこに軸をおいて読めばいいのやら。
警察物とか探偵物をネタバレなしで語るのは難しそうだから、話を変えるけど。秩序を重んじる黒衣の魔導士と奔放なロリっ娘の魔女っていう意味では、私らのモデルの一部だったりする?
全くもって関係ないようですよ。『ブラックロッド』冒頭に出てくるオートマトン・アレフも無関係。むしろ有魂建材による巨大構造物つながりで、銀河鉄道999の鉄郎とメーテルの方が、まだ影響が深いというか、原型の一部というか。
うんうん、やっぱあたしのモデルはメーテルくらい美人じゃないとね。
いや、ゴキブリ並みの生命力とか旅の動機とか、性別含めてそれぞれの要素をミックスして分けなおした上で、むしろ鉄郎……
ということは、ドルクは車掌さん?
え゛、いや、それはかなり斬新な見方かと。
そういえば、メーテルって鉄郎の母親の体がモデルだったけど、何百年も旅してるなら、その前は別の体のハズだよね。前のはどうしたのかな。やっぱ冥王星の氷の下に、ズラーっと歴代メーテルの抜け殻が凍ってるとか?
そうなのかも知れませんが……ああ、これ以上はメーテルファンの目がコワい。
次のよしなごと「トリニティ・ブラッド 著 吉田直未 永久に完結しなくなった未来史」へ